国道241号線・国道38号線・国道237号線  −その1−


 稚内から、国道238号線を完走して、網走に着いた私は、次に進むべきルートについて迷っていた。せっかく北海道に来たのだから、できれば知床半島に行ってみたいと思う。個人的には、知床半島こそが、いちばん北海道らしいところだと思うからだ。
 それに、私は「国道334号線(知床横断道路)」を、まだ走ったことがない。道路地図で、この知床半島の原生林の真っただ中を走る国道を見ながら、いつか走ってみたいと思っていた。

 タンクバッグのなかから道路地図を出し、これから走るルートを検討する。知床半島横断道路に、つい目がいく。けれども、あいにく旅の相棒であるオートバイの調子が悪い。オイル上がりによる白煙が、もうもうと上がり、いつ止まるかわからない状態である。
 原生林のなかで、エンジンが止まってしまうという事態だけは、避けたい。知床半島に生息しているヒグマは、北海道全体の8割を占めるという。オートバイを置いて、町まで歩いているあいだにヒグマに出くわしたりしたら、しゃれにならない。

「中年ライダー、ヒグマに襲われて死亡。車両の整備不良が原因か?」

などという見出しで、北海道新聞の道東版に載るのだけは、勘弁してほしい。

 私は、見ていた道路地図を、パタンと閉じた。今回は知床半島に行くのを、あきらめることにした。次回、北海道を訪れたときの楽しみにとっておこうと思う。いつになるかはわからないけれど。
 ということで、私は、網走〜弟子屈(てしかが)〜足寄(あしょろ)〜帯広〜苫小牧というルートを選択した。このルートなら、苫小牧までほぼ最短であるし、大きな町や観光地が多いから、公共交通機関もある。なにかあっても、町までたどりつくことが出来るだろう。


濤沸湖に沈む夕日


 2002年9月11日、午後4時30分ごろ、網走を出発した。
 しばらくは、JR釧網本線に並行して走る。原生花園という駅がある。本当に、駅前に原生花園がある。この駅は、夏だけ列車がとまる、臨時駅なのである。
 その原生花園であるが、ここ北海道では亜寒帯気候であるから、海岸沿いであっても、ワタスゲやニッコウキスゲなどといった、関東でいう高山植物が咲いている。ワタスゲは、近年では尾瀬あたりでもあまり見られなくなったが、このあたりでは、普通にみられる。

 右手に濤沸湖(とうふつこ)が見える。冬には、オオハクチョウが来るところだ。濤沸湖を通過するところで、ちょうど日没を迎えた。きれいな夕日だった。今回の旅は、天気にだけは恵まれている。
 時刻は、午後5時30分をちょっとまわったところだ。このあたりのキャンプ場を利用しようかな、とも思っていたのだが、寒かったので、私は温泉に入りたかった。そこで、その日は屈斜路湖まで走って、国設和琴半島キャンプ場に泊まった。


  
濤沸湖の地図をみる


リンク
藻琴(もこと)湖、濤沸湖、小清水原生花園の紹介ページ
日本の重要湿地500(環境省)のページ
網走市公式ページ
道東情報探検隊

※「道東情報探検隊」は、北海道東部に関する様々な情報を探検し、真実を明らかにするため結成された「謎の組織」なのだそうです。



国道241号線・国道38号線・国道237号線  (白地図著作権:「白い地図工房」


つづきつづきを読む     インデックスに戻る   ホームへホームに戻る

inserted by FC2 system