国道254号線  −その1−


 国道には、起点と終点がある。
 始まりがあれば、終わりがあるのは当然で、なんとなく始まって、なんとなく終わっているわけではない。一部、分断、重複する区間はあるものの、起点と終点は厳密に決まっている。

 現在、日本には459本の国道がある。けっこうな数だ。起点と終点の一覧表を見ていると、いろいろと面白いことが見つかる。日本最長の国道は4号線であるが(起点の日本橋から終点の青森まで742.0km)、では最も短い国道はどこか。正解は国道174号線で、起点の兵庫県神戸港から終点の兵庫県神戸市中央区まで。わずか200メートルしかない。
 分断している国道の代表は、国道58号線だ。起点は鹿児島県鹿児島市で、終点が沖縄県那覇市。途中経由地は、西之表市(種子島)、名瀬市(奄美大島)など、となっている。「海の上じゃん!」と思った方、正解である。
 こうなると起点と終点に、どれほどの意味があるかは疑問である。が、とにかく決まっているのだ。ちなみに、東京を起点とする国道は、以下の11本である。

路線名 起点 終点 距離
国道1号線 東京都中央区(日本橋) 大阪市 573.0km
国道4号線 東京都中央区(日本橋) 青森市 742.0km
国道6号線 東京都中央区(日本橋) 仙台市 351.7km
国道14号線 東京都中央区(日本橋) 千葉市 44.1km
国道15号線 東京都中央区(日本橋) 横浜市 29.2km
国道17号線 東京都中央区(日本橋) 新潟市 351.0km
国道20号線 東京都中央区(日本橋) 塩尻市 225.0km
国道130号線 東京都港区 港区芝1丁目 0.5km
国道131号線 羽田空港 大田区大森東 3.8km
国道246号線 東京都千代田区 静岡県沼津市 124.3km
国道254号線 東京都文京区 長野県松本市 224.0km

注)参考資料:白須潤一氏ホームページ 「国道一覧表」 


 もっとも、こういったことは、ほとんどの人にとっては、どうでもいいことであろう。あるとき、友人と渋谷で待ち合わせ、ニーヨンロク(国道246号線)沿いにある店で、お酒を飲んだ。そのとき私は、よせばいいのに、

 「このニーヨンロクって、沼津まで続いているんだよなあ。」
などと、つい言ってしまったのだ。はたして友人は、

 「ヌマヅって、どこだよ。」などと言う。
 「静岡県の沼津市だけど。」
 「ふーん、するってえと、このニーヨンロクをずっと行くと、そのヌマヅってとこに着くわけ?」
 「そうだけど。」
 「ふーん、なるほどね。でも、そんなこと、考えたこともなかったなあ。で、そうゆうこと知ってると、なんかいいこと、あるわけ?」

と言われてしまった。恥ずかしいことを言うなよ、といわんばかりの口ぶりであった。

 ニーヨンロクこと、国道246号線が東京都千代田区を起点として、静岡県沼津市を終点としていることを知っている人は少ない。しかしながら、もっと少ないのは、国道254号線(春日通り、川越街道)が、文京区本郷を起点として、松本まで続いていることを知っている人だ。総延長は、じつに224.0kmにおよぶ。
 これについては、知っている私のほうが恥ずかしくなってしまうくらい、誰も知らない。じゃあ、恥ずかしいついでに、終点まで走ってみよう、と思った。

 2000年8月29日、朝8時に家を出た。
 文京区本郷から東松山までの区間は、何度も走っている。小江戸といわれる川越は面白いところだが、自宅から近いこともあり、何度も行っている。で、時間を節約するために、東松山から松本までを走ることにした。上信越自動車道が開通して以来、国道254号を走るのは久しぶりである。途中の、内山峠、三才山(みさやま)峠は景色がいいところだ。楽しみである。


  国道254号線 (白地図著作権:「白い地図工房」

つづきつづきを読む     インデックスに戻る   ホームへホームに戻る

inserted by FC2 system