国道254号線  −その2−


  入間ICから、圏央道に入る。
 圏央道の青梅インターチェンジ〜鶴ヶ島ジャンクション間が開通してから、ずいぶんと時間が経過した。が、私にとって、利用するのはこれが初めてである。立川市に住んでいてさえ、こうなのだから、他の地域に住んでいる人にとっては、この道、めったに利用することはないだろう。
 要するに、あまりにも首都圏の外側を走りすぎているのである。都心から40キロから50キロメートルも離れていれば、ほとんどの人にとって、利用価値がないのは当然だ。
 鶴ヶ島ジャンクションから高尾ジャンクション間が開通したとしても、青梅市とか秋川市の住民が都心に行く場合、直接、中央道の八王子ICに行ってしまうだろう。だから、都心を通らずに関越方面から中央道に行きたいクルマ以外には、圏央道は使われることがあまりないように思われる。
 いきなり話がそれたが、圏央道はほとんど誰も走っておらず、快適に鶴ヶ島JCTまで走り、関越道に合流した。

  圏央道の建設を担当しているJH八王子へのリンク

 すると、なんと東松山から通行止めであった。どうやら、復旧の見とおしがたたないような大事故があったらしい。ほとんど動かない大渋滞になっている。旅のはじめから、ついていない。
 東松山で降りる。料金所で「高速道路通行止め乗継証明書」という紙を渡される。こんなの初めて見た。発行日の翌日までに通行止め区間と同一の路線に乗り継ぐ場合、所定の料金を割り引きます、というものだ。
 日本の高速道路は、インターチェンジを1回利用するごとに「インターチェンジ利用料」というものがかかる料金体系となっている。日本道路公団の都合でいったん高速道路をおりることになったのだから、次に乗る時はそのぶんを差し引きますよ、というわけである。
 仕事で運転している人にとっては、珍しくもなんともないものかもしれないが、私にとっては珍しいので、記念にとっておくことにする。

 東松山を降りると、国道254号線も大渋滞であった。やれやれ。慎重に路肩をすり抜ける。
 よく、「オートバイには渋滞は関係ないでしょう?」とか聞く人がいるが、とんでもない。そりゃ、クルマよりは少しは速いだろうが、遅いことには変わりはないし、神経をすり減らしてしまう。黒いベンツや、高い外車の横なんか、怖くて抜けるものではないのである。
 かなり時間がかかったが、花園を過ぎると、徐々に車が流れ出した。

  さらに国道254号線をすすむ。藤岡からは、本庄から分かれてきた信州街道となり、長野県との県境である内山峠をめざす。
 信州街道は、別名「姫街道」といわれている。姫街道というと、東海道の御油(豊川市)〜見附(磐田市)間が有名だが、ここも姫街道という。厳重な警備の横川関所がある中山道にくらべて、信州街道は関所がなく、また碓氷峠のようなけわしい地形でもなかったため、善光寺参りの女性によく利用された。そのため、この名がある。

 姫街道の名に魅せられたわけでもないだろうが、現在の上信越自動車道は、下仁田までは信州街道を経由する。ところが、そのあと急に北上し、中山道の松井田町にむかう。そして、碓氷峠を越えるのかなと思ったら、急に南下し、八風山トンネル(3998メートル)を通って、佐久に抜けている。すなおに内山峠越えのルートを選ぶのにくらべて、約7キロメートルは遠回りをしている。理由はわからない。
 しかも、これほどの迂回をしていながら、途中のインターチェンジは「松井田妙義」と「碓氷軽井沢」の2つであり、どちらも信じがたいほど辺鄙なところにある。
 なんだかよくわからないが、とにかく内山峠越えは、現代のメインルートからはずされている。

 「富岡製糸場」のある富岡市を通る。生糸の輸出が、産業近代化の柱であった明治時代初期において、国策企業として設立された工場である。現在は片倉工業株式会社の富岡工場となっているが、稼動はしていない。私有地だから工場内には入れない。門のところから、煉瓦作りの古い工場を見る。
 このあたり、こんにゃくが名物だ。国道沿いに、「刺身こんにゃく」だとか「みそ田楽」といった看板が多い。マンナンライフという会社も、本社は富岡市にある。
 こんにゃくの成分は99%以上が水分であるが、残り1%未満のなかにあるグリコマンナンという、分子が大きくて消化されにくい糖分が、からだによいといわれている。
 上信電鉄の「なんじゃい」という駅を通る。漢字でかくと「南蛇井」だ。「なんじゃいとは、なんじゃい。」と、つい、言いたくなる。

 富岡市公式ページへのリンク
 片倉工業ページへのリンク
 マンナンライフへのリンク
 上信電鉄ページへのリンク


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