国道220号線/国道448号線(3)


都井岬〜佐多岬
 
 都井の岬を後にし、串間に向かって走る。途中、小さな峠を越えた。串間からは、国道220号と448号の併用区間を、志布志に向かう。
 鹿児島県に入った。ここまでの日南線の駅名は、日向○○であったが、ここからは大隈○○となっていた。大隈線が廃止されてしまったので、いまは大隅夏井しか、残っていないが。
 その大隈夏井駅で、小休止した。
 缶コーヒーを飲み、一服していると、自転車に、箒だとかチリトリなどの荒物を満載したおじさんが通りかかった。そんな商品回転率の悪そうなものを、自転車で行商してどうしようというのか。ちょっと唖然として見ていると、おじさんの方から話しかけてきた。

 おじさん「よう、どっから来た。」
 私   「東京からです。」
 おじさん「ここまでずっと、走ってきたんか。」
 私   「いえ。日向までフェリーで来ました。」
 おじさん「ほー、若いねー。」
 私   「どうも。ところで、それ、売っているんですか。」
 おじさん「もちろんさ。」
 私   「...売れますか?」
 おじさん「売れるよー。たまにだけどね。こんなことやってても、一人で食べていくには十分さ。」

と言うと、おじさんは「かっかっか。」という感じで笑った。
 
 さらに進む。志布志は、現在のJR日南線の終点だ。かつては都城へ行く志布志線と、垂水から国分へ行く大隈線とがあり、鉄道の要衝であった。が、その両線が廃止された現在、駅はその面影もない。現在、都城、垂水へは鹿児島交通のバスが、ほぼ1時間間隔で出ている。鹿児島は、バスの交通が便利なところだ。鹿児島空港を中核として、各都市に路線が伸びている。しかも速い。
 かつては、西鹿児島が交通の中核であっただろうが、いまは長距離の旅行者は、ほとんど飛行機で鹿児島に来る。そういった実態にも、合っていると思う。
 大崎町で左折。内之浦町にむかう。以前、ここに来た時は、直進してしまったのだった。

 国道448号線は、いよいよ緑濃く、あふれるばかりの光で満たされていた。
 内之浦には、「鹿児島宇宙空間観測所」がある。かつては、ここでよくロケットの打ち上げがあり、ニュースになっていた。文部省(現在は文部科学省)の施設である。門のところに守衛さんがいたが、住所、氏名を記入するだけで、誰でも自由に見学できた。しかも無料である。
 巨大なロケット打ち上げ台は、そのまま残っている。大きなパラボラアンテナの電波望遠鏡(だと思うが、ロケットの追尾装置なのかもしれない)もあった。高圧電流を使っているのか、近くによると、ブーン、と低くうなっていた。

 現在は種子島にロケットの打ち上げ施設は移され、H2およびH2A型ロケットが実用化されつつある。ロケットの打ち上げ場が、低い緯度のところにあるのは、その方が地球の自転による遠心力を有利に使うことができるからだ。同じ理由で、NASAの施設もヒューストンとか、ケープ・カネイベラルにある。しかし、内之浦と種子島では、緯度に大差はなく、移転したのには、なにかべつの理由があるのだと思う。

注:ここを訪れた時点では、ロケットの打ち上げ施設は、すべて種子島に移転したものと思っていたのだが、1997年2月には、世界初の電波天文衛星「はるか」が、ここ鹿児島宇宙空間観測所から、ミュー5型ロケットにより打ち上げられた。

 

     電波望遠鏡

電波望遠鏡

     ロケット発射台

 ロケット発射台跡 


 さらに南にすすむ。だいたい海沿いを走るが、山に入って小さな峠を越えたりして、面白い。途中、港という集落の手前では、広く弓形にひろがった砂浜を見ることができた。
 いい道だ。これまでに通ってきたなかで、いちばんいい道だ。


  
内之浦町の地図を見る



志布志町公式サイトへのリンク
内之浦町公式サイトへのリンク
宇宙開発事業団(NASDA)へのリンク


つづきつづきを読む     インデックスに戻る   ホームへホームに戻る

inserted by FC2 system