中高年のためのオートバイ運転講座

  7.その他(ちょっとしたコツ、心がけ)




1.市街地で大型車の脇をすり抜けるときは、いったん止まる


理由は、歩行者が飛び出してくるからです。渋滞している時の「脇すり抜け」は、私もやる。ただし、上のようなケースでは、注意するようにしている。
大型車のかげから、歩行者に飛び出されると、全然見えない。ほんとうに、ぶつかるまで何も見えないのである。私自身も、一度ぶつかりそうになり、以来、用心深くなった。
横断歩道以外の場所で、横断する歩行者に問題があることはもちろんである。が、もし負傷させてしまった場合、脇すり抜けという違反行為をしている以上、立場はすごく悪くなる。


2.カーブを曲がる場合、60キロでまわれるな、と思ったら、50キロでまわるようにする

これは技術というよりも、心がけの問題である。はっきり言って、私は仲間うちでは“カメ”と言われている。でも、いろんなオートバイ乗りたちと話した経験からいって、60キロでまわれるな、と思ったとき、60キロでいっちゃうやつは、必ず過去になんかやっているものである。
なお、ゆっくり走ることが安全運転である、と言っているのではない。70キロでまわれるな、と思ったら60キロでまわる。要するに、セーフティマージンをどれくらいとるか、という問題である。


3.一車線の道で、右折待ちのクルマの左側をパスする場合、対向右折車に気をつける

タクシーなど、プロは絶対に出て来ないものである。が、一般のドライバーは、よく出て来る。それで右直事故となっても、「オートバイが、いきなり飛び出してきたんだもん。」とか言われて終わりだ。


4.意識的に視野を横にひろげ、周囲をよく見ながら運転する

たとえば、前のクルマが急にブレーキを踏んだりしないか。カーブミラーに写っている対向車がいないか。対向車が急に右折して来ないか。横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいないか。左から急に飛び出してくるクルマがいないか。駐車しているクルマのかげから、不意に飛び出してくる歩行者や自転車がいないか。隣のレーンを走っているクルマが急にレーンチェンジして来ないか...。運転中は、それらのすべてを見なければならない。

クルマにくらべて、オートバイを運転している時は、視野が縦に狭くなりがちある。理由は、路面の状態が気になるからである。けれども、事故を起こさないようにするためには、意識的に視野を横にひろげ、周囲をよく見ながら運転するようにしなければならない。



ふだんから、とくに気をつけている点としては、上の4つくらいであろうか。交通社会において、オートバイに対する偏見は、依然として存在する。自分の命を守ることについては、慎重になるべきである。

また、何度も言うようだが、教習所やライディングスクールで教わったことが、公道でそのまま通用するとは限らない。とりわけ講習会などでは、インストラクターたちは狭いコース内でのパイロンスラロームをいかに速くこなすか、しか考えていないところがある。そういったことと、事故を起こさないように走ることのあいだには、なんの関係もない。
事故を起こさないように走るための最大のポイントは、危険な状況を予測して近づかないことである。それは、主として想像力の問題であり、技術の問題ではない。


安全運転とはべつに、疲れない運転という点では、なるべくクラッチを切らないで、変速するようにしている。いちいちクラッチを握って変速していると、長距離を走っているうちに、手首が痛くなってくるから。オートバイのトランスミッションは常時噛合式であるから、ちょっとスロットルを戻してパワーを抜いてやれば、簡単に変速する。私は、3速以上はほとんどクラッチを使わないで変えているが、とくに、それでオートバイが痛むということもないようである。

また、シートの同じ位置にずっと座っていると、お尻が痛くなる。タンクに近い部分から遠い部分まで、前後を幅広く使うようにする。そして、なるべく、つま先に近い部分をステップに乗せ、アキレス腱を伸ばした姿勢で乗ると、いいようである。腰とお尻に来ない。疲れない運転をすることも、事故を起こさないためには、重要なことであろう。

ちなみに、私はいちおう、限定解除に合格している。が、あんなもんは小ワザである。私は一本橋を20秒以上かけて渡ることができるが、だからといって運転が上手いわけでもなんでもない。街中では、750CCのオートバイで走っていても、よく原付に抜かれるし、仲間とツーリングすると、置いていかれる。

この「中高年のためのオートバイ運転講座」はBlog「国道な日々」に掲載していた記事を再掲したものです
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