中高年のためのオートバイ運転講座

  2.左カーブのまわり方



私のように運転がヘタな者は、事故を起こさないために、どのような運転をしているのか。今回は左カーブを例にとってみる。


左カーブのまわり方

オートバイ乗りにおいては、右カーブにくらべて、左カーブは得意であるという人が多い。じつは私もそうなのだが、理由はよくわからない。右利きであることと、なにか関係があるのだろうか? 
右カーブと左カーブを比べると、左カーブの方が運転しやすいと思うのだが、どちらが危険かというと、圧倒的に左カーブの方が危険である。まずは、そういう認識をすべきであろう。
運転が上手い人のラインの取りかたは、やはり、アウト→イン→アウトである。


図2-1 運転が上手い人のラインのとり方



アウト→イン→アウト
 
 
けれど、運転がヘタな人にとっては、こういったラインで走ると、やはり問題が出てくる。理由は、左カーブというのは、極端に見通しが悪いからである。クルマの場合は、右ハンドルだから、左カーブをまわるときも、ドライバーの視点は道のまん中あたりにあり、まだ見通しがきく。けれどオートバイの場合は、コーナリング中は車体を傾ける関係で、自分の走るラインよりも、さらに内側に視点が移動するのだ。
 
このような状態で、インがわについてしまうと、まさに一寸先は闇。行き先になにがあるかは、まったくわからなくなってしまう。さらに、他者(歩行者とか他のクルマとか)にとっても、左カーブは見通しが悪く、安全の確認が遅れることが多いのである。図2-2および2-3は、ありがちなケースであろう。


図2-2 ありがちなケース


右側を歩いていた歩行者と接触


図2-3 ありがちなケース


急に飛び出してきたクルマと接触



運転が上手い人は、こういった場合でも、瞬時にラインを変えることができる。だけど、私のように運転がヘタな者は、ラインを急に変えることはできない。そうして、歩行者や飛び出して来たクルマに接触するとか、あるいは避けようとして転倒するというのは、ありうるパターンである。

そして、左カーブの場合、転倒したり、ラインが大きくふくらんだ場合は、対向車線に入ってしまう。対向車に轢かれたり、ぶつかったりしたら、ふつう死ぬ。右カーブでは、ハイサイド転倒でもやらかして、ガードレールにたたきつけられない限り、まず死ぬことはないけれど、左カーブでは、何かミスをしたら、死ぬ可能性がきわめて高いのである。
  

それでは、運転がヘタな私が、左カーブをまわるときにどういうラインで走っているかをご説明しよう。私は、図2-4のようなラインをとっている。


図2-4 運転がヘタな人がとるべきライン



アウト→センター→イン


つまり、安全が確認できるまではインに入らず、レーンのまん中を走るのである。
前述のように、左カーブでインがわを走っていると、本当になにがあるかわからない。だから、カーブの途中では、安全が確認できるまでは、なるべくレーンの真ん中を走るのだ。そして、カーブの出口が見えてから、初めてインがわに入るのである。


以上、右カーブ編と左カーブ編をまとめると、カーブが連続するところでは、運転が上手い人は図2-5のように走る。けれど、運転がヘタな私は図2-6のように走っている。
 
  
図2-5 運転が上手い人の走り方


 
 
図2-6 運転がヘタな人(=私)の走り方





私の走行ラインは、運転が上手い人からみると、お笑いであろう。「ケッ。だから、遅いんだよ。」とか言われそうである。事実、私は遅い。だけど、こういったラインで走れば、ほとんど事故を起こすことはない。


断っておくけれど、右カーブで「アウト→アウト→イン」、左カーブで「アウト→センター→イン」のラインがいい、なんて書いてあるライディング・テクニックの本はない。理由は単純明快で、遅くなるからである。そういった運転が上手い人の視点ではなく、運転がヘタな者がどうしたら事故を起こさずに走れるか。言い換えれば、自分の実力に対して、常に大きめの安全マージンを確保するにはどうしたらいいのか。 ここでは、それを論じているのである。

この「中高年のためのオートバイ運転講座」はBlog「国道な日々」に掲載していた記事を再掲したものです
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