国道402号線・国道8号線 −その1−
初めて日本海を見たのは、高校3年生のときであった。
私は、小さいときから、父の仕事の都合で、いろんなところを転々とした。けれども、私たち家族が住んだのは、主として太平洋がわであり、日本海がわには、あまり縁がなかった。
私は、地図を見るのが好き、という、ちょっと変わった子供であったのだが、日本の地図を見れば、イヤでも日本海が目に入ってくる。日本海という名前に惹かれた。
日本地図だけを見ていると、なかなか実感できないのだが、世界地図、あるいは地球儀を見ていると、日本海は、弓なりになった日本列島と、対馬、サハリンに囲まれている。まさに、日本海という名前がふさわしいと思う。私は、日本列島を背骨のように貫く山々を越えて、いつの日か、日本海を見たいと思っていた。
東京に住んでいるあいだは、日本海を見ることはできなかった。東京から日本海までは、遠かったからである。だだっぴろい関東平野を抜け、「トンネルを抜けたら雪国であった」の三国峠を越えて、新潟平野を走り抜けなければ、日本海には到達できない。東京から日本海までは、直線距離で約210キロメートルもある。
それに対して、関西では日本海が近い。琵琶湖は、やけに北に張り出している感じだし、その北がわの分水嶺も、ごく低いものだ。おかげで、冬には季節風がもろに吹き込んでくるから、関が原あたりで大雪となり、新幹線がよく遅れるのだが。それはともかく、大阪から日本海までの距離は、直線距離で約100キロメートルにすぎない。だから、関西ではわりと簡単に日本海を見ることができる。
いちばんてっとりばやい方法は、大阪から新快速に乗って米原まで行き、米原から北陸本線に乗って、敦賀まで行くことだ。所要時間は、約2時間ほどである。敦賀駅からは、バスで10分くらいで敦賀港に着くから、そこから日本海を見ることができる。
ということで、大阪に住んでいたころ、私は日本海を見るだけのために、敦賀まで行った。高校3年生になったばかりの春であった。いい天気であったので、日本海はコバルトブルーであった。初めて日本海を見た私の感想は、「太平洋と変わらないな。」という、しごく当然のものであった。
その日本海を、ひさしぶりに、じっくりと見たいと思った。1997年8月31日の日曜日、国道17号線を経由して、新潟に着いた私は、日本海に沿って、西にむかった。
注:日本海は、英語ではSea of Japan。日本海という名称は、国際的にも認められているといえよう。が、最近、これに異議を唱える声が、韓国のなかにある。韓国では、日本海のことを「東海」と呼ぶそうだ。朝鮮半島の東にある海、という意味である。それゆえ、韓国政府は国際機関や地図出版社などに対して、「日本海を東海(East sea)と呼ぶべきだ。」という主張をしている。日本人としては、好意を持って了承することは、難しいだろう。
リンク
日本海呼称問題に取り組む海上保安庁海洋情報部のページ
よくいわれることであるが、新潟県内は、むちゃくちゃ道がいい。高速道路と同じような規格の自動車専用道路が、東西に走っている。
新潟市内を見物した私は、栗の木交差点からバイパスに入って、紫竹山のインターチェンジから、新潟西インターチェンジに向かった。一般道だから、時速60キロメートル規制である。それに対して、流れは時速80〜100キロメートルくらいだ。捕まったらひとたまりもない。が、私ひとりだけ、時速60キロメートルで走るわけにはいかない。
新潟西インターチェンジから先も、ま新しい自動車専用道路が開通していた。新潟西バイパスである。高山インターチェンジというところで降りて、内野駅の横を通り、国道402号線に入った。ここまで来るのに、新潟市内から30分もかかっていない。おそるべし、新潟の国道である。
リンク はぢめさんのお部屋 「新潟の道を走ろう」で、新潟県内の高速道路、国道、その他おすすめのツーリング&ドライブルートを紹介されておられます。
国道8号線 (白地図著作権:「白い地図工房」)