国道2号線    −その2−

 それにしても、私はしょっちゅう、道に迷う。まあ、私がドンくさいのかもしれないが、どうも日本の国道は、案内標識の数が、少なすぎるような気もするのだが。
 ところで、JRの山陽本線はここ、神戸駅から始まる。終点は北九州市の門司駅だ。山陽本線が大阪からではなく神戸から始まるのは、私鉄であった山陽鉄道を、明治39年(1906年)に買収して国有化したという歴史があるからだ。山陽鉄道は、神戸から馬関(現在の下関)まで開通していた。先進的な鉄道会社であったらしく、日本で初めて、食堂車や寝台車、あるいは長距離の急行列車を走らせている。
 そのような歴史を誇る神戸駅であるが、現在では、ここを始発あるいは終着とする列車は一本もない。それどころか、特急列車にも、ほとんど無視されている。

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神戸市公式ページ


明石海峡大橋


 明石に着く。ここから対岸の淡路島まで、「明石海峡大橋」がかかっている。明石海峡大橋は、中央支間長1991m、さらにピア(主塔)の高さは、海面上約297mとなっている。ギネスブックからも世界一長い吊橋、世界一高い吊橋として認定を受けている。
 ピアの頂上は、雲のなかに入って霞んでいた。巨大なアンカレイジ(重石)は、これまでに見たどのような土木建築物にくらべても、迫力がある。明石海峡大橋が完成するまでは、明石市の名物といえば、日本標準時の天文台とタコであった。が、橋の完成後は、一躍、世界じゅうに名を知られることとなった。

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橋の科学館
本州四国連絡橋公団第一管理局
明石市公式ページ



 さらに、国道2号線を西にすすむ。
 川崎重工業の、明石工場の前を通る。戦争中、あの名戦闘機「飛燕」をつくっていた工場である。しかしながら、僕らオートバイに乗る人間にとっては、二輪車の主力工場として名高い。
 ここから、カワサキブランドのオートバイが、世界じゅうにむけて出荷されている。1日に約800台、月に約16,000台が生産され、その9割が欧米などへの輸出だ。カワサキファンにとっては、ひとつの聖地であろう。
 しかしながら、川崎重工業の全売上に占めるオートバイの比率は、ざっと2割くらいにすぎない。川崎重工業は、現在、「事業の選択と集中」をすすめており、他の基幹事業(航空機、鉄道車両、プラント、船舶など)にくらべて、二輪車はあまりにも細かい製品だから、シナジー効果が少ない。「今後、カワサキの二輪事業は、どうなるかわからないな。」、と思っていたら、ついさきごろ、スズキとの提携が発表された。
 よかった。これで、さっぱり儲からなくなった国内市場から撤退、ということはなくなった。ただし、ニンジャのブランドをつけたカタナなんか、見たくないな、とも思う。

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川崎重工業


 加古川は、旧山陽道の鹿子川宿である。海岸部には神戸製鋼の大工場、内陸部には靴下や建具などといった地場産業の工場があり、ユニークな都市である。
 ちなみに、山陽道には、51の宿場がある。「天下の険」の東海道、「すべて山の中」の木曽路にくらべて、気候も穏やかであり、風景も美しい山陽道の旅は、昔の旅人にとっても、きっと楽しいものだったに違いない。

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加古川市公式ページ
夢海道ルネサンス(中国路・歩いて・感じて・伝えたい)

 

山陽道五十一次の宿場

1 尼崎 18 矢掛 (やかげ) 35 今市
2 西宮 19 七日市 36 蛯坂 (えびさか)
3 兵庫 20 高屋 37 久保市 (くぼいち)
4 明石

21

神辺 (かんなべ) 38 花岡
5 鹿子川 (現 加古川)

22

今津 39 徳山
6 御着 (ごちゃく) 23 尾野道 (現 尾道) 40 富田
7 姫路 24 三原 41 福川
8 鵤 (いかるが) 25 沼田本郷 (ぬたほんごう) 42 富海 (とのみ)
9 正条 (せいじょう) 26 西条 43 宮市
10 片嶋 27 海田 44 小郡
11 有年 (うね) 28 広島 45 山中
12 三石 29 廿日市 (はつかいち) 46 舟木
13 片上 30 玖波 (くば) 47 厚狭市 (あさいち)
14 藤井 31 関戸 48 吉田
15 岡山 32 御庄 (みしょう) 49 小月 (おづき)
16 板倉 33 玖河本郷 (くがほんごう) 50 長府
17 川辺 34 高森 51 下関

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