国道2号線    −その1−

  私は映画が好きである。洋画、邦画のどちらも見るし、SF、アクション、コメディ、アニメなど、ジャンルを問わない。何でも見る。
 邦画のなかで、とくに印象に残っているのは、大林宣彦監督の「転校生」、「時をかける少女」、「さびしんぼう」である。いわゆる尾道3部作だ。いろいろな意見があるとは思うが、私は、思春期の多感な感性と、尾道の風景がマッチして、美しい映画になっていると思う。
 オートバイに乗る者としては、これに「彼のオートバイ、彼女の島」を加えたい。この作品は、尾道3部作に数えられないが、ヒロインのミーヨ(原田貴和子)は、瀬戸内海の島出身という設定であり、ロケが行われたのは、尾道の近くの岩子島(いわしじま)であった。瀬戸内海の美しい島々と、オートバイは、なぜかよく似合うと思う。
 ということで、今回は尾道に行こうと思う。

 2001年9月14日(金曜日)午後3時、私は大阪市北区梅田1丁目3番、すなわち「梅田新道」の交差点にいた。
 尾道は、国道2号線沿いにある。だから、国道2号線を西に進めば、自然に尾道に着く。そして、国道2号線の起点はここ。つまり梅田新道交差点なのである。
 傍らには、大阪市の道路元票がある。ここは国道2号線の起点であると同時に、国道1号線の終点となっている。さらには、国道25号線(四日市市〜大阪市)の終点、国道26号線(大阪市〜和歌山市)の起点、国道163号線と国道165号線(区間はともに大阪市〜津市)の起点、国道176号線(宮津市〜大阪市)の終点である。
 御影石に、金色のトロフィーのようなものが、乗っている。東京・日本橋の道路元標が、マンホールのフタみたいなものなのに対して、大阪のは、やや立派な感じがする。

 大阪道路元標の地図をみる


  国道2号線は、大阪市から北九州市まで、全線533.2キロメートルの路線だ。全国の国道で、5番目に長い。
 大阪市内の国道2号線は、むちゃくちゃ混雑していた。そこで私は、国道43号線(第2阪神国道)で神戸に向かうことにした。最近、私はかなり柔軟である。
 国道43号線は、東京でいえば湾岸道路、名古屋でいえば名四国道にあたる、市街地を避けた幹線国道で、幅員は50メートルもある。さすがにこれだけ広いと、渋滞していない。大阪では、「よんさん」とか「ニ国(にこく=第二阪神国道)」などと呼ばれている。
 阪神甲子園球場の前を通る。大阪の人は見なれているだろうが、蔦がからまった落ち着いたたたずまいは、何ともいえずいい。東京の神宮球場よりも、よほどいい。
 神戸市に入ったところで、国道2号線にもどる。片側3車線もあるのに、ちっともペースが上がらない。それもそのはずで、一番左の車線は、駐車違反のクルマで完全にふさがっている。左から2番目の車線も、空いたスペースに縦列駐車をしようとしているクルマがいるので、非常に通りにくい。有料の駐車場はたくさんあり、結構空いているのだが。このあたりは、関西の雰囲気である。
 クルマに注意しながら走っていると、いつのまにか、国道2号線ではなくなっていた。信号待ちのときに地図を確認すると、国道2号線は三宮の駅前で、クランク状に曲がっている。私は、気がつかないで直進してしまったのであった。まあいい。とにかく西に向かっているのだから。そのまま走り続けて、神戸の駅前で左折し、国道2号線に戻った。


 国道2号線 (白地図著作権:「白い地図工房」


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