国道238号線 その1


 国道40号線を走って、稚内に着いた私は、国道238号線を走って南に向かうことにした。
 国道238号線は、稚内を起点に網走まで、オホーツク海沿いに続く、全長327.8キロメートルの路線である。途中、主な経由地は、猿払(さるふつ)村、浜頓別町、枝幸(えさし)町、雄武(おうむ)町、興部(おこっぺ)町、紋別市、湧別(ゆうべつ)町、佐呂間町、常呂(ところ)町など。読みにくい地名が、ずらりとならぶ。全部読めたら、一級北海道地名判読士の資格を取得できるだろう。
 2002年9月10日、午後3時30分ごろ、稚内を出発した。

 稚内港に停泊しているフェリーが見える。稚内は国際港であり、サハリン(樺太)のコルサコフ(大泊)とのあいだに、週2回、フェリーの定期便があるのだ。運行しているのは、東日本海フェリーで、船舶は3000トンクラスの大きさだ。コルサコフまでの所要時間は約5時間半。
 宗谷岬から、サハリンの南端クリリオン岬までの距離は、わずか43キロメートルほどだ。これは、与那国島から台湾までの約111キロメートル、対馬から韓国までの約50キロメートルよりも近い。ロシアは、日本からもっとも近い外国なのである。
 それにしても、サハリンに行き来する旅客の数が、フェリーの定期便ができるほどあるとは知らなかった。旧ソ連時代は、なにかにつけて距離を感じさせる国であったが、冷戦終了後は、民間レベルの経済交流が、活発になっているのかもしれない。

注)歯舞諸島のひとつである貝殻島は、根室の納沙布岬から、わずか3.7キロメートルほどのところにある。しかしながら、ここでは「北方領土」は日本の領土であるという立場から、サハリンを日本から最も近い外国であるとした。

リンク
稚内市公式ページ


 稚内から、30キロメートルほど北に走り、日本最北端の地、宗谷岬に着いた。岬には「日本最北端の地」という、巨大な三角錐のモニュメントが建っている。晴れていたので、サハリンがよく見えた。
 大型の観光バスが、次々にとまる。そして、そこからはきだされた観光客は、みんなモニュメントの前で記念写真を撮るから、順番待ちの列ができていた。ひな壇を設置した記念写真屋もいる。
 周囲は民宿とみやげ物屋が立ち並んでいる。「日本最北端到着証明書」なるものを売っている。100円で、日付と時間のスタンプを押してくれるようだ
 「最北ラーメン」、民宿「最北の宿」。まさに最北づくしである。「最北の電話ボックス」なるものもあった。ここまでくると意味不明である。




国道238号線  (白地図著作権:「白い地図工房」


つづきつづきを読む     インデックスに戻る   ホームへホームに戻る

inserted by FC2 system