国道226号線(2)
単なるカルデラ湖なら素通りしてもいいのだけど、鰻池のほとりにある「鰻(うなぎ)」という名前の集落が気になる。どんなところなのか、一度見てみたい。で、そのためだけに、わざわざ寄り道をしていく。一人で旅をしているからこそできる気まぐれであり、友人と一緒なら、こんなくだらないことは言い出せない。
鰻集落に行くと、鹿児島交通の「鰻」という名前のバス停があった。そりゃ、鰻という地名なのだからあるだろうけど、何となくおかしかった。さらに「うなぎ温泉」という名前の公共浴場があった。なかをのぞいてみると、木で出来た渋い内装であった。まだ午前中だから、誰も入っていない。番台にも人はいなかった。
「鰻」バス停
注)鰻温泉は、明治7年、征韓論に破れた西郷隆盛が逗留し、江藤新平と会談したという由緒ある温泉場である。しかしながら、ここを訪れた当時の私は、そんなことは知らなかった。集落のなかをあるいていると、いたるところから湯気が噴出している。で、各家庭では、そこに鍋をかけて、野菜や卵を加熱している。こいつはいい。省エネルギーそのものである。ガス会社は、さぞや口惜しがっているだろう。蒸気をパイブか何かで部屋に通せば、暖房もできそうだ。
注)もっとも、暖房など必要ないところなのかもしれない。
鰻池のほとりの鰻集落。で、住んでいる人々の苗字も鰻ならおもしろいな、と思ったが、表札が出ている家は少なく、また鰻さんではなかった。
鰻池のほとりまで下りてみる。
直径は、わずか1キロメートルほどである。対岸がよく見える。けれども、カルデラ湖だから、ものすごく深く、深さは120メートルもある。なんとなく神秘的な池だった。ただし、水はあまりきれいではなかった。
再び国道226号線に戻る。
JR指宿枕崎線の「西大山(にしおおやま)駅」を訪れる。ここは鉄道ファンには有名な駅だ。鉄道クイズなどにも、よく出てくる。なぜかというと、日本の鉄道の駅のなかで、最も南にあるからだ。
行ってみれば、どうということもない無人駅である。が、プラットフォームに「日本最南端の駅」という標柱と看板があった。JR指宿枕崎線は、山川から先、列車の本数が極端に少なく、1日7往復である。次の列車は、午後1時半ごろまでなかった。
注)ちなみに以下の駅が、それぞれのナンバー1であり、鉄道クイズによく出題される。
最も北にある駅 「稚内駅」(宗谷本線・北海道)
最も東にある駅 「東根室」(根室本線・北海道)
最も標高の高い駅 「野辺山」(小海線・長野県)
最も標高の低い駅 「馬喰町」(総武本線・東京都)
西大山駅からは、薩摩富士と言われる開聞岳が、目の前に見えている。円錐型の美しい火山で、標高は922メートル。富士山の4分の1くらいだ。もう1000年以上噴火したことがない、休火山である。
鰻池の地図を見る
鰻池の地形図を見る(国土地理院Webページ)へのリンク
開聞岳紹介サイトへのリンク