国道226号線(1)

佐多〜山川

 1994年5月1日、佐多岬荘を朝8時30分に出発した。
 しばらく国道269号線を北上し、大根占(おおねじめ)町に着く。ここから対岸の山川(やまがわ)までフェリーが出ている。鹿児島湾をぐるっとまわっていくよりも、かなり時間の短縮になるので、それに乗るつもりだ。
 大根占〜山川は、南海郵船という会社の運行で、ダイヤは一隻の船が行ったり着たりしているだけという単純なものだ。鹿児島湾は波が穏やかだし、船の行き来は少ない。こういう船の船長は、さぞや楽な仕事だろうな、と思う。
 午前10時出航の船に乗るつもりであった。が、都会人の習性で、渋滞する可能性を考慮して、つい早めに出て来てしまった。まだ誰も来ていない。
 「バイク」と書いたレーンに沿ってならぶ。私が先頭だと喜んでいたら、オートバイは私だけなのであった。船が来た。まず最初に乗用車がボーディングブリッジを渡る。次にやや大型のトラック、そして自転車、最後にオートバイ (つまり私が最後) の順であった。


大根占〜山川のフェリー

 対岸の薩摩半島まで、約40分の船旅だ。5月で、東京ではまだ肌寒い日が多い。が、ここ鹿児島では、陽射しがポカポカと暖かく、私はずっと甲板に出て海を見ていた。そのうちに、とろとろと眠くなってしまった。約30分間、無意識で過ごしたが、「まもなく山川です。」のアナウンスで我にかえり、急いで車両甲板まで降りていった。

 山川の街で、床屋を見つける。誰も入っていない。私は髪を切ることにした。
 出発前は忙しく、床屋に行くひまもなかった。この旅行から帰れば、また忙しくなる。今のうちに切っておこう、と思ったのだ。
 誰も待っていないから、30分もあれば終わるだろう、と思った。が、ここのご主人、仕事がすごく丁寧で、たっぷり1時間かけて、私の髪を切ってくれた。

 JR指宿枕崎線山川駅の横を通って、国道226号線に入る。ちなみに、町の名前は「やまがわちょう」であるが、駅の名前は「やまかわ」である。

山川〜枕崎

 山川市街を出て、226号線を走る。すぐに右折して、鰻池(うなぎいけ)まで登っていった。
 鰻池は、火山の噴火口に水がたまった、いわゆるカルデラ湖だ。この近くにある池田湖も同様にカルデラ湖で、さらにさきほどの山川もそうだ。ぐるっと丸い湾になっているのは、カルデラ湖が侵食されて海につながったのである。このあたり、開聞岳(かいもんだけ)も含めて、火山地形のオンパレードである。



国道226号線(白地図著作権:
「白い地図工房」


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