国道16号線  −その2−


 淵野辺(ふちのべ)という交差点を左折し、多摩丘陵のなかに入っていく。すぐに町田市に入る。
 町田市は、東京都の地図を見ると、神奈川県がわに、妙に食い込んでいる。町田市がなくて、八王子市で終わっていたら、東京都は非常にすっきりとした形になるのだが。かつて、なんらかの都合により、町田市を無理に東京都に組み入れたということが、ありありとわかる。
 現在でも、このあたりは東京都よりも神奈川県との関連性が強い地域である。買い物、通勤、通学などで、神奈川県に行く人が非常に多い。
 町田市の人口は、現在、約40万人である。お隣の神奈川県相模原市の人口は、約62万人。2つの市がいっしょになれば、人口100万人以上で、政令指定都市の誕生である。町田市民にとっては、無理に東京都にくっつけられているよりも、神奈川県に組み入れられ、相模原市と合併して政令指定都市となった方が、いろんな意味で幸せになれるのではないかと思われるのだが。

 小野路町に着く。クルマが多くて渋滞している。じつは、この近くに鎌倉街道という、このあたりでは主要な道路があるのだが、どういうわけか「小野路」という交差点で、突き当たっている。で、鎌倉街道はそこで終わっているのかというと、そうではなく、その先の野津田町というところからまた始まって、町田駅方面に抜けている。つまり、この区間だけ、どういうわけか中断しているのだ。だから、多摩ニュータウンから鎌倉街道を南下してきたクルマは、強制的に迂回を強いられることになるのだ。そのため、このあたりはいつも混雑しているのだ。
 どうして、鎌倉街道がここで中断しているのか。私は、ずっと不思議に思っているのだが、どうもその理由は定かではない。
 ちなみに、鎌倉街道は群馬県の高崎から鎌倉まで続いている旧街道である。上道・中道・下道の3本が作られたというが、東京周辺の開発により、そのほとんどは残っていない。残っているところは断片的であるし、時代が古すぎて、その探索は、ほとんど考古学の領域に入るものである。東海道の旧街道を訪ねるのとは、ずいぶんと趣が異なるので、素人むきとはいえないだろう。

 野津田公園にオートバイを置いて、歩きはじめる。環境保護地域とはいえ、山の中でわき道も多いから、地図とコンパス(方磁針)は必需品だと思う。ないと、たぶん道に迷うだろう。私は2万5千分の1の地図をプリントアウトして持ってきたが、少々、おおざっぱすぎる感じもする。里山歩き専用の地図でもあればいいのだが、そういうものは見つからなかった。
 コンパスは、アウトドアショップでアクセサリーとして売っていた300円くらいのものだ。私は、いつもこれを、デイパックに付けっぱなしにしている。いちおう、シルバというメーカーの精度の高いコンパスも持っているのだが、あれを使うためには、正確な地図と目標となる高い山が必要なので、意外と役に立たない。方角を知るだけならば、簡単なもので十分である。

   図師小野路周辺の地図をみる


リンク
町田市公式ページ


 「野津田高校入口」のバス停付近から、山の中に入っていく。なんということもない山道だ。が、東京都内でこのような雰囲気の道というと、他には、あまり思い浮かばない。だから、貴重なところなのだと思う。

 歩いていると、薄暗くて、なんとなく不気味な感じがするところに出る。すると、小野路城址という案内板があらわれた。昔、ここで戦いでもあったのだろうか。
 私は、どうも暗いところは苦手である。そこで小野路城址には立ち寄らず、さっさと通りすぎることにした。



里山のなかの道


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