カメラについて

 オートバイ旅行では、雨が降れば、荷物が雨ざらしとなります。直射日光の下では、バッグの中はかなりの高温になりますから、カメラにとっては、非常にハードな環境となります。また、クルマのようにトランクに鍵がかかりませんから、盗難にも気をつかわなければなりません。
 もちろん、そのための対策はするべきですが、限度があります。あまり高級なカメラを持って行って、神経質になっていると、肝心の旅行が楽しくなくなります。

 私は、オートバイ旅行には、中国製の一眼レフ(ボディのみ9000円で購入)と、28mm、50mm、100mm、200mmという単焦点のレンズ4本を持って行きます。ボディはTEXERというブランドのもので、ミノルタのX-370と同じ製品です。このくらいの値段なら、たとえ壊れても、それほど惜しくありません。

 「そんな安物のボディで大丈夫なのか?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、シャッターさえ、ちゃんと切れれば、ボディの機能としては十分です。
 28mm以下の広角と、200mm以上の望遠は、あまり使用頻度が高くありませんから、持っていかなくてもいいと思います。28〜200mmのズームレンズ1本、という選択もありだと思います。私はズームレンズがあまり好きになれないので、いまだに単焦点レンズを4本、持っていきます。


私がオートバイ旅行で持って行くカメラとレンズ



100円ショップで買ったプラスチックのケースに入れて、タンクバッグの中にセットしたところ
(緩衝材および断熱材として、やはり100円ショップで買った、ノートパソコンを入れるウレタンバッグを切って、内側に貼り付けています。つまり製作費は200円です。)

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フィルムについて

ネガカラーフィルムとリバーサルフィルム

 一般的には、ネガカラーフィルムを持っていけば十分でしょう。が、私の場合は、リバーサルフィルムを使っています。ネガとリバーサルの差は、例をあげますと、以下のような差です。ネガカラーフィルムの方が自然な発色ともいえますが、写真としてみた場合、リバーサルの方が、圧倒的にきれいです。リバーサルフィルムは、主としてエクタクローム ダイナハイカラー を使っています。


 ネガカラーフィルムによる作例

 リバーサルフィルムによる作例


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デジタルカメラについて

 カメラユーザーのニーズは、確実にデジタルカメラ (以下デジカメ) に向かっています。 私も、デジカメ (リコーCaplio RR30) を使っています。私のホームページに掲載している写真の多くは、これで撮ったものです。
 デジカメは、ずいぶんと良くなりました。はっきりいって、2001年の時点におけるデジカメは、おもちゃの域を出るものではありませんでしたが、最近の製品は、用途によっては十分実用になります。


写真提供:リコー
 リコーのCaplio RR30。リコーのデジカメは、シャッターボタンを
 押してから、実際にシャッターが切れるまでのタイムラグが非常に
 短いところが気に入っています。

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 カメラよもやま話@  「私とミノルタ」


左からX-70、SR-1、SR-505。すべて正常に動きます。
レンズはMCロッコール50mmf1.7、MDロッコール50mmF1.7、MDロッコール28mmf3.5、
MCロッコール100mmf2.5、MDロッコール200mmf4


 私は、大学時代からミノルタのユーザーでした。初期の一眼レフであるSR-1、名機SRT-Superの後継機種であるSR-505、普及機XG-Sの後継機種であるX-70というボディを使っていました。レンズは当然のことながら、すべてロッコールです。シャープで色のりがよく、コントラストの強い描写はとても気に入っていました。

 ところが、ミノルタはオートフォーカスのα7000の発売を機に、それまでのSRマウントからαマウントに変更してしまいました。これにより、多くのミノルタファンが離れていったものと思われます。私もその一人で、ニコンに乗り換えました。
 ということで、いま、私がメインで使っているカメラはニコンです。ボディを3台と、ニッコールレンズを9本持っています。
 けれども、ニコンを旅行に持って行くと、ねらわれやすいので気をつかってしまいます。そこで、オートバイ旅行のために、安価な中国製のボディを購入して、レンズはかつて使っていたロッコールレンズを復活させることにしたわけです。

 こう書くと、あまり積極的に使っているように思われないかもしれませんが、じつはそうでもありません。ロッコールレンズは、非常に優秀なレンズです。私の使っているものの多くは、20年以上前のMCロッコールおよびMDロッコールですけど、現在のプラスチックを多用したズームレンズなど足元にもおよばない、シャープな描写をしてくれます。
 とりわけ、MCロッコール100ミリF2.5は、シャープなうえ、色のりがよく、なおかつボケ味がきれいという非常に優れたレンズで、私は気に入っています。私はニコンに乗り換えるとき、なんとかこのレンズだけは使えないものかと、最後まで悩んだものです。

 オートバイで旅行するようになって、ミノルタを復活させたことにより、なつかしい“ロッコールの描写”を再び味わうことができるようになりました。いまは、オートバイでの旅行中、写真を撮る作業がとても楽しみになっています。


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 カメラよもやま話A  「ズームレンズは好きになれない」


便利ではあるのですが...

 私は、ズームレンズが、あまり好きではありません。ですから、なるべく荷物を減らしたいオートバイ旅行であっても、単焦点のレンズを4本持って行きます。

 ズームレンズというのは、ムービーのために開発されたものです。ムービーの世界では、ズームレンズは必需品です。ズーミングなどの撮影手法を行うためには必ず必要ですし、なによりも、ムービーだとフレーミングにおいて、トリミングがきかないからです。(最近の映画監督は、ズーミングという手法を嫌う傾向にありますが...)

 それに対して、普通の写真(スチル)では、あとで自由にトリミングできますから、撮影時におけるフレーミングは、あまり重要ではありません。6×6センチ判など、画面サイズに余裕があるときには、なるべく広い範囲を写しておいて、あとでトリミングをするという使い方が一般的ですらあります。
 そういった意味では、スチルの場合、ズームレンズを使うメリットというのは、ほとんどないといえます。いってみれば、何本もレンズを持ち歩かなくてすむ、ということくらいでしょうか。

 では、ズームレンズを使うデメリットは? これは明確にあります。
 まず、ズームレンズは暗いです。一般的な28-80ミリくらいのズームレンズだと、開放でF4からF5.6くらいです。これくらい暗いと、被写界深度が深くなってしまいますから、背景をぼかして被写体を引き立たせるといった表現は出来なくなります。これでは、いったい何のために一眼レフを持っていくのか、ワケがわからなくなります。

 つぎに、ズームレンズは、絞りがいいかげんです。例えば、上のズームレンズは、開放の絞り値がF4〜F5.6となっていますが、これは文字どおりF4からF5.6のどこかですよ、ということです。いまどき流行の28〜300ミリといったレンズになると、F3.5-6.3といった数値のものもあり、こうなると表示されている絞り値は、ほとんど意味をなしません。

 それでも製品として通用するのは、フィルムの進歩です。いまどきのネガカラーフィルムは、1段や2段くらい露出が狂っても、十分カバーしてしまうほど、許容感度が広いからです。
 けれども、リバーサルフィルムで撮る場合、露出が0.5段狂っただけで、大きな問題となります。だから、リバーサルを使う人にとっては、絞り値がいいかげんなズームレンズは使えないのです。
 以上、2つの理由。つまり、レンズが暗いということと、絞り値がいいかげんであるということにより、私は、ズームレンズが好きになれないのです。

 なお、世の中になるズームレンズがすべて暗くて、絞りがいいかげんかというと、そうではありません。明るいズームレンズもありますし、絞り値が一定しているものもあります。けれども、それはとんでもなく高価だったりします。

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 カメラよもやま話B  「露出計はなぜ必要なのか」


見たことがない、という人も多いと思いますが...

 私は、露出を測るのに、露出計を使っています。そんなもの見たことがない、という人も多いかもしれませんが、使ってみると、意外と便利なものです。
 なぜこんなものが必要になるのかですが、まずは、リバーサルフィルムで撮るからです。許容感度(ラチチュードといいます)が広いネガカラーフィルムで撮るなら、こんなものはいりません。0.5段の差でも問題になるからこそ、正確なメーターが必要になるのです。

 次に、入射式か反射かという問題があります。ふつうのカメラについている露出計は、すべて反射式です。つまり、被写体に当たってはねかえってくる光を測るわけです。その際、カメラは「世のなかにあるすべてのものは、反射率18%のグレーである」と思い込もうとします。つまり、白いものも黒いものもすべてグレーであると仮定したうえで、露出を決めます。すると、当然のことながら、白いものも黒いものも、だいたいグレーに写ります。

 では、白いものは白く、黒いものは黒く撮ろうとしたら、どうしたらいいでしょうか。それには、被写体に当たっている光の強さそのものを測ればいいのです。これが入射式の露出計の考え方です。
 上の露出計は、いま私が使っているものです。見ていただくと、白い半球がついていますが、この白い半球に当たっている光の強さを測るのです。で、いまは絞り値が5.6、シャッタースピードが125(分の1秒)と表示されていますね。この指示値で撮って大丈夫です。補正なんかする必要は一切ありません。

 普通のカメラだと、状況に応じて補正をしますよね。白っぽいものを撮るときは+1とか、逆光だと−1とか−2とか。そういう判断とか計算をする必要がまったくないのです。だって、入ってくる光を測るわけですから。
 あと、画面のいろいろなところを測ってくれるカメラもありますよね。「○○個のシリコンフォトダイオードが画面の何箇所の明るさを同時に測定するマルチパターン測光」とか。そういう高価で仰々しいメカも必要ありません。この露出計で、明るいところと暗いところを、何箇所か測ればいいわけですから。

 また、非常に現実的で切実な問題として、私はいま、主として4台のカメラを使っていますが、それぞれに個性があります。まず1台は露出計がついていません。フジの6×9センチ版なのですが、「そもそもこういうカメラを使う人は、露出計くらい持っているだろう。」と、メーカーが考えたのかどうかわかりませんが、最初から付いていないのです。ニコンの3台は、1台はだいたい正確、もう2台は+0.5段、つまりオーバーめを指します。9000円で買った中国製のボディは意外と正確な値を示しますが、暗くなるとかなり狂ってきます。
 ちなみに、いまはあまり使わなくなったミノルタの3台ですが、SR-1は最初から露出計が付いていませんし、SR505は+1オーバーです。X-70は−0.5段アンダーを示します。
 こういったカメラごとの個体差は意外と大きくて、私はそれぞれのボディに、+1とか−0.5とか書いているのですが、そういうのを気にしながら撮るというのは、面倒なものです。だから、露出を測るのは露出計に任せて、カメラは撮るのに専念する。そのようにした方がラクです。補正の手間もいりませんし。

 ちなみに、露出計を持ってしまうと、ボディなんか、本当にどうでもよくなりますね。シャッターさえ切れればそれでいい、と思ってしまいます。高級なボディを買うお金があったら、私はレンズを買いますね。

 

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